「セナ!!」



ナルがピシャリと放つと、一瞬ビクッとしてる。



咄嗟にあたしの後ろに隠れるセナくん。



「マジで怒んなよ…ちょっと悪ふざけが過ぎただけじゃん。今の俺には、葵が必要なだけ」



ちょこんと肩に手を置いているところが、かわいすぎる。



じょ、冗談だよね。



うんうん。



「ふーん」



本気でニラんでるし、ナル怖すぎ!



「そ、そうだよ。セナくん、ふざけ過ぎ~」



場を和ませようと、ヘラヘラと笑ってみる。



「そうか…そういう事実がないなら、いーけど。とりあえず、学園に寄ってくか。葵、乗ってきた車は?」



「外に待たせてる。行こう」



ナルを促し空港の外へ向かう間も、セナくんはあたしにべったりだ。



そして、ナルも…。



両脇に、ふたりの男性を従えるあたし。



おまけにふたりが、どちらとも自分の方に引っ張るから、本当に歩きにくい。



な、なんなの!?



やっとのことでナルに会えたのに、あたしたちの試練はまだまだ続きそう。



一体、いつになったら幸せになれるの~!?



end