「お前っ、友達もいないのか!?」



ナル、驚いてるけど…あなたもいなかったよね!



引き連れていたのは、赤鬼さんのような卑怯なヤツら。



舎弟とでもいうのか、ただ従うだけの男たち。



あのときのナルよりかは、今のセナくんの方がかなりまともかも。



「だからさ。葵だけなんだよ、信頼できるのは」



うわぁ、嬉しい。



そんな風に思ってくれるようになったんだねぇ。



最近の、あたしとセナくんの関係はすこぶる良い。



前みたいに罵り合うことは、あんまりないかな。



「セナの教育係、頑張ってんじゃん」



「へへっ」



ナルと顔を見合わせていると、セナくんに手を掴まれた。



…えっ、なに?



「ナル兄、悪いけど。連れて帰るから」



や、ちょっとぉ!?



「待てよ。葵は俺を迎えに来たんだぜ?つか、俺はこいつを連れて帰るつもりで…」



「はあぁ!?ナル兄、ムリ言うなよ。葵は日本にいるべきだ。俺の世話焼くのでせいいっぱいだから。なっ?」



「あたしは、ナルと一緒に…」



そこまで言うと、セナくんが眉を下げて首を横に振っている。



「葵がいなくなるなんて、嫌だ。そんなことになったら、また学校で暴れてやる」



「どうしてそうなるの!?もうっ、せっかくみんなとうまくやれてるのに。ダメだよ」