《俺様的》彼女の手なずけ方

「はあーっ」



大きくため息をつきながら、中等部への渡り廊下を歩いていると…。



1階の教室から脱走している生徒を発見。



あれは、セナくんだ。



「待ちなさーいっ!逃げる気?」



渡り廊下の窓から顔をのぞかせ、逃げようとしているセナくんに叫ぶ。



あたしに気づいたのか、舌を出し特徴のあるポーズで挑発してきた。



あっの、クソガキ~!



「そこから動かないで!絶対捕まえる!!」



「待てって言われて待つバカが、どこにいんだよ」



くっ。



階段をおりてたら、間に合わない。



よしっ!



飛ぶしかない!



窓枠に手をかけ下をのぞきこんだ。



斜め前の自転車置き場の屋根に飛び移るか…。



「やっ、やめとけって!落ちたらケガする」



「人にケガさせて平気な顔してるくせに、あたしの心配するんだ?それはどうも」



構わず、窓枠に足をかけ飛び移る準備に入る。



「足折れるぐらいじゃ、すまねーぞ!やめろって」



「折れないわよ、あんたのせいであたしの心はもうとっくにバキバキに折れてるけどね」



「冗談言ってる場合じゃねぇ。飛んだら逃げるぞ」




「どっちが冗談言ってるのよ。逃げるから、飛ぶんでしょ?あんた本当にバカ」




「くっ…わかった。ここにいるから…階段から来て」



やっと素直になった?



本当かどうか分からないけど、信用することにした。



窓からおりて、校舎の中を通って1階へ向かう。



教室の中には戻っていなかったけど、中庭の端にセナくんが立っていた。