「小さいやつだな」



「そうだよ、自覚してるからだよ」



「お前は、なにも気にするな。全てを俺に委ねろよ」



「そうもいかないよ、ナルのお荷物になりたくない」



俯いて布団に顔を隠せば、あっさりとそれを引き剥がされた。



「そんな風に思うなよ。愛してるって一言言えば、全て俺が丸くおさめてやるから」



「なっ…」



「ほら、言えよ」



「やだ…」



そんなの、恥ずかしくて言えない。



それに、ナルに頼りっぱなしも嫌だから。



「だったら、言わせるまで」



ナルがあたしの腕を軽く引いて、自分の領域へと誘う。



「そっち、行かないよ。なにされるかわかんないし」



「なんもしねぇよ…」



「絶対ウソ。する」



「こうしたいだけ」



ナルが布団の上から、ギュッとあたしを抱きしめてきた。



「好きだ…葵」



耳元で優しく囁かれ、くすぐったい。



「あたしも…」



言い終わるうちに、唇を奪われていた。



長いキスになるかと思ったけど、チュッと軽くしただけですぐに離れた。



「どう…した、の?」



「今日で最後なんだろ。だとしたら、やっぱ…お前の顔見て、ずっと話してたい。キスもいいけど、顔見れねーからな」



なんだか、ナルらしい。



それに、あたしもそうだよ。



キスは愛情を確認するためにある。



だけどもう、お互いの愛情は確認し合えているから。



貴重な時間を、もっと有効に使いたい。



ナルも、同じ気持ちでよかった。