「ありがとうございます…この恩は忘れません」



「どうしちゃったの、急に!?」



さっきまで横柄だったのに、いきなりお母さんに頭を下げてるから驚く。



「礼は言うもんだろ」



そうだけど…。



「とりあえず今日はゆっくりなさい。今晩は葵の部屋に泊まるといいわ。並べてお布団敷いておくわね」



は、はいいっ!?



「お母さんっ、なに言ってるの?冗談キツイ」



「ふたりで話したいこともたくさんあるでしょ?三好くんの明日のフライト、予約しておくわ。あたしにできることはこのぐらいよ」



グッと唇を噛み締める。



今日が終わったら、しばらく…ナルと会えなくなるんだ。



だけどその後は…。



そう思えば、頑張れそうな気がする。



それからは、ご飯を食べてからシャワーを浴び、リビングで談話したあと、それぞれの部屋に入った。



あたしとナルは、あたしの部屋へ。



なんだか照れるけど、今日で3回目なんだよね。



お布団に横になり、布団の繋ぎ目のところで手を繋いだ。



「ナル…ここまで来てくれて、ありがとう。本当言うと、あたし逃げたの。ナルが偉大過ぎて、自分のちっぽけさが怖くなったの…」



ギュッと手に力をこめると、ナルもそれに応えて握り返してきた。



「なにも気にする必要なんてねーのに」



「気にするよ…」