勝手にいなくなって、怒るよね…。



ナルには自分の運命を受け入れて、全うしないといけない使命がある。



それはきっと、あの家に生まれたときから決まっていたことだよね。



だから…。



「大きな決断をしたのね…詳しくは姉さんから聞いたわ。もう、ずっとここにいていいのよ」



「うん…」



それからしばらくは、思い出話をしてセレブ学園でのことを省みた。



天音ちゃんのお母さんのことを話すと、お母さんはとても残念がっていた。



身を隠すのに必死で、どこから情報が漏れるかわからないから連絡することができなかったと、悔やんでいたっけ。



あたしは…天音ちゃんや京子さんには、自分の居場所を伝えて良かったと思う。



もしかすると、何らかの形でおじいちゃんにバレてしまうかもしれない。



それでも、天音ちゃんたちには本当のことを言っておきたかったから…。



今日はお父さんも早く帰って来るって言うし、久しぶりの家族の団欒。



楽しみだな。



自分の部屋になる予定の一室で片付けをしていると…。



「ぎゃあああぁーっ!!」



猛獣の叫び声のようなものが、玄関の方から聞こえた。



なっ、なんなの!?