飛行機を乗り継いで、やっと異国の地へ降り立つ。



初めて乗る飛行機は、あたしの全ての体力を奪った。



ほとんど寝てたけどね。



「お帰りなさい、葵。ずっとあなたが来るのを待っていたのよ」



「お母さん!」



空港まで迎えに来てくれたお母さんと、久しぶりの抱擁。



あったかい…あたし、本当にホームシックにかかってたみたいだ。



こんなんじゃ、高校生にもなってガキだなってナルに笑われちゃうね…。



そんな風に思うと振り払った思いがぶり返し、涙が零れた。



「うわあぁん、お母さ~ん」



「あらあら、どうしたの?見ない間に、すっかり甘えんぼうになったのね」



ナルからの連絡になんて答えればいいかわからなくて、スマホの電源を入れてない。



あたしのことは、きっと清香さんが上手く言ってくれるはずだから。