「今、速報が入りました。三好会長が…持病を悪化させ、緊急入院です」




ええっ!?




あんなに元気そうだったのに?




けど結構なお年だったよね。




あたしたちのことで、精神的なことから体調を悪くして、悪化させたとも言い切れないよね。




画面がスタジオに切り替わり、アナウンサーが神妙な面持ちでコメントしている。




「三好会長が緊急入院…大変なことになりましたね。会社として一応機能はしていくでしょうが、ビッグプロジェクトや思い切った決断は三好会長が采配していると聞いています。ここまでの企業になったのも、運営に全力を注いできたからこそ。そのご本人が倒れた今、後継者問題を抱えどうなっていくのか。今後、注目していきたいと思います。それではいったんCMです」




サーっと青ざめるのがわかった。




ホントにすごい人だったんだ…。




経済とか全くわからないから、ただの傲慢なおじさんだと思ってた。




ナルは…正真正銘の御曹司だよね。




あたしみたいな普通の子は、好きになってもらえる資格なんてない。




それなのに…。




スマホを確認すると、やっとナルからの返事が入っていた。




『清香は、俺とお前のために最善を尽くすと言ってくれた。ちょっと急用ができた。夜には戻る。俺が帰るまで、そこで待ってろよ』




清香さんは…確かに、最善を尽くしたのかもしれない。




急用っていうのは、もしかしてナルのお父さんのことを知った?




今のニュースだってすぐにナルの耳に入るはずだから。




さすがにお父さんを放ってはおけないよね…。