「笑ってるってことは、いいか?」




手を伸ばしてくるから、今度はあたしが全力でその手を振り払った。




「違~うっ!!ナルにはすっごく感謝してるの。何度も傷つけた…それなのに…あたしを救ってくれて…」




そんなんじゃなくて、もっと直接的なこと。




あたしも、好きって気づいて…って言いたいのに、今さらって感じで言えない。




口ごもっていると、ナルがフッと笑った。




「そんなの当たり前。俺の挨拶のあと、泣きながら会場を出ていったお前を放っておけるわけがないだろ」




泣きながら…えっ…そうだったっけ!?




って、そんな覚えはない。




「会場の入口にいるスタッフに聞いたら、泣きながら出て行ったっていうからな。

俺が婚約するのを目の当たりにして、お前も辛くなったんだろ?やっぱり、追って来て正解だったな」