「悪かったわね!運転手さん、すぐに車を停めてください。降ります」




「畏まりました」




運転手さんが車を停めようとすると、ナルがそれを制した。




「絶対に停めるな。このまま走り続けろ」




ええっ?




「なんなの?あたしといたくないなら…」




「誰もそんなこと言ってないだろ…今、理性と闘ってるところだ」




はいっ!?




「なに言ってるの?理性って…」




そう言うと、ナルがあたしに向きなおる。




「今すぐ、ここで押し倒したい…いいか?」




「ええーっ!!そ、そんなのっ、ダメに決まってるでしょ!?」




「…だろ?もう俺のモノって思ったら…早く手に入れたくて仕方がない」




困ったように手で顔を覆い、真剣に悩んでるんですけど。




「あはは…」




心だけじゃ、ダメですか?




完全に、心はナルに持っていかれてる。




あたしがちゃんとそれを伝えなきゃ、わかってもらえないよね…。