「どこまで逃げる?」





「なっ、ナル!?」





あたしを抱え上げたのは、ナルだった。





「今、お前を連れて逃げられるのは、俺だけだ。一生俺についてくるって、ここで誓えよ」





「ええっ!?どうしてそこまで飛躍しちゃうの?」





一生…って、それって…。





「さあ、どうする?迷ってる暇なんてないぞ」




勢いだけで返事をしていいのか迷うけど…ナルと一緒なら、なにもかも乗り越えられる気がする。




「ナルは…あたしでいいの?」





「愚問だな。俺に相応しい女は、お前だけ」





こんな状況でも自分のスタイルを崩さないのが、すごすぎる。




ナルの目を見つめ、しっかりと頷いた。




あたしが頷くのを確認したあと、ナルがタクシーの後部座席にあたしを放り込む。




そしてナルもそれに続いた。




「出してくれ」




行く先も告げないまま、あたしたちを乗せた車はすぐに走りだした。




あたしたちの未来は…どこへ向かうのか。




それは、誰にもわからない。