《俺様的》彼女の手なずけ方

「親父、はっきり言えよ。コイツがどうかしたのか」



「うむ…。今すぐに本郷さんを呼べ」



ナルのお父さんが、周りを取り囲んでいる黒いスーツの男たちに告げる。



一礼し、すぐにホテルの中へ入っていく数人の男たち。



「中でゆっくり話そうか。私は素晴らしい宝石を見つけたかもしれん」



あたしを見て、不気味に笑うナルのお父さん。



さっきまで和解する雰囲気なんてなかったのに、なんなのいきなり…。



「素晴らしい宝石って、これのことか?」



ナルがあたしの胸元にある、青く輝くペンダントを指さす。



「こっ、これは…天音ちゃんに借りてるの。あたしのじゃない」



ペンダントを握りしめ、後ずさる。



「世界に名を馳せる私が、そんなものに興味を示すと思うか?宝石とはキミのことだ」



あっ…あたし!?



「今ごろ気づくなんて、親父もまだまだだな。俺は最初からコイツの魅力にきづいてた」



フンと鼻を鳴らすナルを見て、頭が痛くなってきた。



よく言う。



あたしのこと山猿呼ばわりしてたくせに。



ほんっと、親子そろってどうかしてる…。