《俺様的》彼女の手なずけ方

それに。



「山猿って言い始めたのは、ナルだよね?あたしには、篠原葵っていう名前があるんです」



「確か、田舎からやってきた山猿だって、自分から言ってなかったか?」



「言ってないよ!ほんっと、ナルって…」



「おい、今なんと言った?」



ふたりで言い合いをしていると、ナルのお父さんが会話に入ってきた。



そうだった、あたし今バトルの途中だったよ。



「ちゃんとした教育を受けたはずのあなたのご子息が、会ったその日にあたしのことを、山猿呼ばわりしたんですよ?」



嫌味たっぷりに言ってやった。



だけど聞きたいのはそこじゃなかったみたいだ。



「名を何と申す、今…確か篠原と聞こえたが」



どうしてそこで、名前の話なの?



疑問に思いながらも、とりあえず質問に答える。




「篠原葵…ですけど、それがなにか…」



「篠原…いや、まさかな。そんなことは、あるまい」



ナルのお父さんが、なにやらブツブツ言っている。



どうしちゃったんだろ。