《俺様的》彼女の手なずけ方

ナルとコソコソ話していると、地面をかち割りそうな勢いで杖を振り下ろしている。



いや、その前に杖が折れる?



そして、あれがあたしに飛んでくるところだったのかも。



考えたらゾッとしてきた。



「口の減らない女だな。これだから下流階級の人間は…」



「そうです、確かにあたしは…世間知らずの小娘です。それでも、両親にたくさんの愛をもらって育てられました。それは、いつだってあたしの核になっています」



「フン…だからなんだ」



「家庭は小さな社会です。家族を欠陥人間扱いするようなあなたは、社員もまた大切にできないはず。そんな人に世界をまたぐような経営ができるとは思えない」



「経営とは、そういうものではない」



落ち着いた物腰ではあるものの、ナルのお父さんの苛立ちが伝わってくる。



目を逸らしたら…負ける気がする。



怯みそうになるけど、グッと耐えた。



「品のないお嬢さんだ。目上の者に反抗することが、お前の親の教えか。だから鳴海がわしに反抗することを覚えた…そうだな」



「こいつのあだなは、山猿だからな。その辺の女とは違う」



ナルがあたしを抱き寄せる。



すると、ナルのお父さんの顔が軽く歪んだ。



ナル、どうしてこの場面で抱き寄せるの?



相手を余計に苛立たせちゃうよ。