《俺様的》彼女の手なずけ方

「そんなものなくても…なんとかなる。人として…なんの感情もなかった俺に、こいつは大切なことを教えてくれた」




初めて出会ったとき…ナルは冷酷で残忍な独裁者だった。




全てを自分の思い通りにし、イジメさえもただの暇つぶしのゲームでしかない。




そんな、最低最悪な人間だった…。




そういう人に育てたのが、ナルのお父さんなんだよね…。




なにが正しくて、正義なのか。




そんなものは、人それぞれ。




だけどやっぱりナルのやり方には、我慢できなかった。




あたしは大したことなんてしてないけど、ナルが今それでよかったと思ってくれているなら…こんな嬉しいことはないよね。




「全てをなげうってでも、誰かのために尽くす。今度はそれを、俺がコイツにしてやりたい。なにもなくても、なんとかなる」




あたし…こんなに思われてるんだね。




こんな状況でも、ナルにドキドキしている。




あたしもそう思っていることを…早く、伝えたい。




お金は確かに大切だけど、それだけじゃない。




なにもない暮らしでも、持ちすぎているより、きっと気持ちはより満たされるはずだから…。