《俺様的》彼女の手なずけ方

「俺を煽って、ただで済むと思うなよ?」




顎を指ですくわれ、ギュっと目を瞑る。




そのとき、ふわっと少し浮いたような感覚が体全体に伝わった。




エレベーターが1階に着いたみたいだった。




軽く舌打したあと、ナルがあたしの肩を軽く押した。




「もう一度、お姫様抱っこしたいところだけど。さすがにそれは、俺もキツいからな…突破するぞ」




「わかった」




エレベーターが開いた隙間からは、人の姿は見えない。




この他にエレベーターは数基あるけど、あのフロアからはこれが一番早くおりてきたはずだから。




逃げるなら、今のうち!




扉が開くと共に、あたしの手を掴んだナルが走りだした。