《俺様的》彼女の手なずけ方

あたしは黙ったまま、頷いた。



「それにしても、片方の靴だけ落としてくるなんてシンデレラみたいでいいな」



「こんなときに、そんな冗談言ってる場合!?」



「そうだな。0時に、全てが夢だったと…魔法がとけてしまうなら、それでもいい」



ナルが、あたしを壁に追い詰める。



頭の横で両手をつき、壁ドンされた状態に…心拍数が一気に跳ね上がった。



「地位や名誉、金や虚栄心…全ては、なんの役にも立たない。好きな女の前ではただのひとりの男」



「くっさ…ちょっと、なに言ってるの?」



さすがにあたしも吹き出してしまった。



今までの雰囲気、全てぶち壊しだ。



「おかしいか?本当にそう思うから仕方ないだろ」



拗ねるように言うナルが、なんだかかわいい。



良くも悪くも、いつも全力で真っ直ぐな人。



誰にも左右されることなく、我道をゆく。



そういうところも、やっぱりあたしは好きなんだろうな…。