《俺様的》彼女の手なずけ方

そんなあたしに気付いたのかどうかわからないけど、ナルがそっとあたしを床におろした。



片足に、ひんやりとした冷たさを感じる。



わっ、そうだった。



足が痛くて靴を脱いでいたときにナルが現れたから、一足だけエレベーター前に落としてきてしまった。



「片方の靴だけ、さっきのフロアに落としてきちゃった」



「で?」



「で?って…靴がないと…」



そう言うと、ククッと喉を鳴らして笑っている。



「慣れないヒールで足が痛かったんだろ。もう裸足になれよ」



「裸足にドレスってどうなの!?」



「なんでもいい。下に着けば、連絡を受けた誰かが待ち伏せしているだろうな…。走れるか?」



有無を言わせないその鋭い瞳に…思わず息をのむ。



他の者を圧倒するようなその眼光が、最初は苦手だった。



だけど今は、その独特の威圧感さえ心地いい。



何事にも、真っ直ぐで…ブレない。



どんな状況でもいつも自信に満ち溢れているナルだからこそ、ついていこうと思える。



ナルとなら、なんでも乗り越えられそうな気さえしてくるから不思議。