登場の仕方がカッコ悪かっただけで、あとは完璧にこなしている。



ナルの挨拶が終わったかと思うと、再びホールの照明が暗くなる。



「続きまして、ご来賓の方々を代表いたしまして三好グループとは縁のある、本郷様よりご挨拶をいただきたいと思います」



ナルと入れ替わりに、大柄の男性がマイクの前に立った。



うわ…すごく怖そうな人。



話し始めると、少しにこやかにはなったけど威厳があるというか…かなり近寄り難い雰囲気。



難しい話は抜きにしてとか言ってるけど、年間何億だの流通ルートがどうだの、あたしにはさっぱりわからない話題。



なんだか、聞いてるだけで頭が痛くなってくる。



「葵ちゃん、あくび…」



わっ。



しまった、あまりの退屈さに、自然とあくびがでた。



仁に指摘され、急いでホールの外に出ることにした。



やばいやばい、あたし…ホント緊張感なさすぎ。