そう言い切ると、ナルはフッと笑ったあと、あたしから目を逸らした。



「そうだな…お前は、最初からそうだった。バカ正直で、いつも俺の思い通りにならない」



出会ったときのことを、思い出す。



そうだね、弱い者イジメ…口答えしない生徒に向かって、テニスコートでとんでもないパフォーマンスをしてたっけ。



「けど昨日…やっと俺のモノになったよな」



「その言い方、紛らわしいからっ」



天音ちゃんが聞いてたら大騒ぎになるよ。



急いで周りを確認するけど、天音ちゃんはまだ料理のコーナーにいるから、ホッ胸をなでおろす。



やっぱりあたしたちはこういう雰囲気があってるよね。



ナルの一言で、さっきまでの気まずい空気が吹き飛んだ。



「もうっ、ホントにナルは…」



「ペット契約をするって言ったのは、俺のほう。なのに……実は、俺の方がお前に捕まえられていたのかも」



そんな言い方して、もうペットになってやらないんだから。



そう言い返そうとしたら、ナルがあたしを再び見る。



さっきまで優しかった顔が、少し険しくなった。