「お前のこと…このまま連れ去りたくなる」



ドキッとすると同時に、その切ない瞳を見ていると胸が苦しくなる。



この人は…ただ純粋に、あたしを好きでいてくれる。



この気持ちに素直に応えることができたら、どれだけいいんだろう。



それが許されない世界に、ナルは住んでいる。



あたしとの仲を取り持つと、学園長が言っていたよね。



もし、それが可能だとしたら…。



「なんて、な。俺もバカだな。こんなこと言うと、ますますお前に嫌われる。それだけは、勘弁」



そんな、あたしはナルのこと嫌いなわけじゃない。



「あたし…」



「俺たち、もう関わらない方がいいのかもな」



え…。



意を決したように、ナルがあたしを見つめる。