「ナルは、今日はひとりなの?珍しいね」


いつも誰かを従えてることが多いから、少し疑問に思って聞いてみる。


「あぁ…たまにはな。それにしても、清香は…ひどいな。

あのぐらいで、お前に突っかかっていって。よっぽどお前が嫌いなんだな」


清香さんのしたことを、ナルに言うべきなのかな…。


だけど、言ったらもっとひどいことをされそうな気がする。


「そうなのかも。ナルに近づく女は、みんな嫌いなんじゃないかなー」


そしたら、ハハッとカラ笑いをされた。


「お前が近付いたわけじゃないだろ?俺が、勝手に追い回してただけだ。

清香には、俺から話しておくから。もう…完全にフられた…ってな」


そんな言い方をされたら、なんて言っていいのかわからなくなる。


ふたりの間に、沈黙が流れる。


あたしもナルも、正面に座っているものの、


お互い視線は、違う方を向いている。


なんだか…


気まずくて。