教室に行くと、天音ちゃんが席でふて腐れていた。



あれ……どうしたのかな。



そしてあたしの顔を見つけるなり、駆けよってきた。



「葵ちゃーん!!」



そして窒息しそうなぐらい、思いっきり抱きしめられた。



「どっ……どうしたの!?」



「わたくし、とんでもない夢を見ましたの。葵ちゃんが…わたくしに黙って転校する夢をっ!!」



ひっ……それ、正夢になるところだったよ。



ドキドキしながらも、あたしは笑ってみせる。



「そんな……転校なんて、しないよ。大丈夫だよ」



「そうですよね!?葵ちゃんがいなくなったら、わたくしまたひとりぼっちに戻ってしまう」



「そんなこと……」



天音ちゃんはあたしに抱きついたまま、グズグズと泣きだしてしまった。



「1度も休んだことがないのに、ホントに心配で……。サギくんに聞いたら、葵ちゃんは最近なにか悩んでるんじゃないかって言うし。

わたくし葵ちゃんに頼ってばかりで、なにも気付けなかった役立たずの大バカヤロウだって、自分を責めていましたの」



「アハハ……大バカヤロウって。天音ちゃんは、いつもあたしの心の支えになってくれてたよ。それに、悩みなんて……」



そこまで言って、ハッとした。