「あたし、転校しようと思うの。そして、家族と暮らす」


「そうなんだ…もう、決めたんだね」


サギくんは、あたしを見つめて口元に笑みを浮かべる。


「へへっ。ちょっとホームシックにかかっちゃった」


ホントは、他に理由がある。


だけど、それを話すとサギくんまで巻き込んでしまうような気がして、


ホントのことを、言うことができなかった。







「そうだよね、女の子だもんな。家族が恋しくなるよね」


「う…ん」


「いつ、行くの?」


「できれば、早く。でも、まだ手続きもなにもしてないんだよね」


「そっか…寂しくなるね」


「あたしも、せっかくサギくんと友達になれたのに、残念だよ」


「天音も…寂しがるだろうな。葵ちゃんが、初めてできた親友だって、喜んでたから」


そう言われると、



胸がギュッとなった。



あたし、天音ちゃんやサギくんと別れたくない。



家族は大切だけど、それはまた別格で。        



あたしからすれば、いつも側にいて欲しいのは家族より友達。



だから、本音を言えば、



このままずっとこっちにいたいの。



だけど、あたしのそれを許さない人がいる。