昨日、楽しかったとはいえ…


そのままベッドで寝るなんて、警戒心なさすぎ。


ナルと一緒に寝たなんて…今思い出しても恥ずかしい。


「葵ちゃん、顔赤いね。風邪?」


「ううん…」


サギくんと歩いていたら、正面からナルが取り巻きを連れて歩いてきた。


「わっ、朝からツイてない」


サギくんが階段の陰に隠れようとしている。


「大丈夫だよ…多分…」


「大丈夫ってどういうこと?」


不思議そうなサギくんを横目に、あたしは真っ直ぐ廊下を歩く。


ナルとすれ違うときに、あたしはずっとナルを見ていたけど、


ナルは全くこちらを見ようとしていなかった。








「あ…あれっ!?ナルが、素通りした…」


驚くサギくんに、事情を話す。


「……ってことなの。もう、あたしたち…学園で話すことないんじゃないかな」


「でも、あのナルがそう簡単に諦めるはずないと思うんだけどなぁ。

手に入れたいモノは、どんな手を使ってでも必ずモノにする主義だし」


「それにね…ナルには言ってないんだけど、あたし…お母さんたちのところに戻ろうかと思ってるの」


「えっ…それって…」