「気持ちなんてなくても、できるから」



「い……いやいやいや、ムリムリムリ……。あたし、初めてだし……その、そんな……」



あぁ、冗談であって欲しい。



「やめるか……」



「その方向でお願いします!」



「なわけないだろ」



「ぎゃあぁぁーっ!!」



ナルにお姫様抱っこをされて、強引に運ばれる。











「助けてーっ!!」



「誤解されるような言い方するなよ。俺みたいなイケメンにお姫様抱っこされて、幸せだろ?」



「イケメンって、自分で言わないでよっ!」



「しょうがないだろ、ホントのことだしな」



「嫌だあぁ……」



文句を言おうが、なにをしてもナルはあたしをおろしてくれなかった。



そして、いつの間にか迎えに来ていた車に乗せられる。



「で、どこにする?」



「もう、どうでもいいです……」



「そうか。なら、俺が決めるから」



ナルなんて、嫌いだっ。



嫌がるあたしを無理やり……あぁ、そんなヤツだと思わなかったよ。



キスだって、あたしがやめてって言ったら、



あれからしてこなかった。



あたしの嫌がることは、しないって思ってたのに……。