ナルの車で、マンションの前まで送ってもらった。


特にひきとめるでもなく、ナルはアッサリと帰っていった。


エントランスを通り、エレベーターに乗って部屋まで移動をする。


いつもお友達と遊びに行っていて家にいないおばちゃんだけど、


確か今日は家にいるって言ってたよね。


いつもの癖で、チャイムを鳴らす前に、持たされているカギで扉を開けると、


部屋の奥からおばちゃんの話し声が聞こえてきた。








「そうですか…そんなことが。それは大変失礼しました…えぇ、本人からは特にそういった話は聞いていないので…。

そうですね、一度聞いてみます。まさか…葵ちゃんに限ってそんなことは…はい、はい…わかりました。はい…ごめんください」


おばちゃんの残念そうな声が聞こえる。


相手の声が聞こえないってことは、電話中かな。


あたしのことで、誰かから連絡が入ったの?


先輩?清香さん?それとも学園長?


おばちゃんが電話を終えたのを見はからって、リビングに入った。


「ただいま…」


「お帰りなさい。葵ちゃん、お腹が空いてない?すぐにお茶にしましょうね」



おばちゃんは、にこやかな笑顔であたしを出迎えてくれる。