《俺様的》彼女の手なずけ方

「おじゃましま~す」



嫌味っぽい?



とりあえずナルをチラリと見るけど、全然聞いてないし。



「すぐに車を出してくれ。次は、ショッピングだよな」



「そう。あたしたち、今ふたりで映画を見て来たところなの」



……はぁ?



先輩がウフフとナルに腕をまわしてすり寄る。










「今から一緒にデートコースをまわるわけじゃなくて、もう行ってきたの?」



「そ。先輩がその方がいいって」



「学校が終わった時間に行くと混んでるでしょ?だから私たちで先に行ってきたの。葵ちゃんは授業があるし、誘うのはやめたわ」



呆れた……サボらせてまでナルとデートしたかったってこと?



それとも、あたしも一緒に行くって知って、焦って予定を変更したとか。



「なんの映画を見たの?」



「そんなの恋愛映画に決まってるでしょ。ナル様、キスシーンで手を握ったら焦ってるんだもん。かわいかったぁ」



なっ……。



あたしがナルを見ると、鼻で笑ってるし。



「フン、驚いただけだろ。でも勉強になった。ああいう気まずい場面で、手を握るとドキッとするよな。今度やってやるよ」



「結構です!」



あたしはナルから顔を背ける。



ったく、なに教えこまれちゃってるのよ。



あたしはそんなのでドキドキしないから!



っていうか、今のところナルと映画に行く予定もないし、そんなチャンスを与えてたまるか~!