「さっきは、ありがとう。嬉しかった……」



「あぁ…なんか清香の様子が変だったからな。多分、あいつが誰かに頼ませてやったことだろうな」



「そんな……まさか」



「それより、みんなに疑われてツラかっただろ。もっと早く気がついてやれればよかった」



ナルがいきなり抱きついてきて、息もできないぐらいギュッとされる。



不意打ちすぎて、避けることさえできずに。



だけど、あたしはしばらくその腕の中に抱かれていたいと思ってしまった。



温かい……。



ナルって言動は冷たいけど、優しい面も持ち合わせてるんだね。



さっきは不安でいっぱいだっただけに、ナルの優しさが心にしみる。








「ペット契約……終わったんだよね?」



抱きしめられたまま、ナルの胸に問いかける。



「そのつもりだったけど、どうやらムリそうだ」



「…どうして?」



「そうじゃなきゃ、お前は俺の言うことなんて聞かないだろ?それとも、契約なしでお前を束縛してもいい?」



ナルの甘い笑みに、胸が高鳴る。



「そっ……束縛なんて……」



「そーいうことだよ。お前のこと、束縛したい。俺だけのモノになって」



更に強く抱きしめられて、なんだか切なくなってきた。