あたしと天音ちゃんも、教室の後ろに移動した。



「どうしましょう、わたくしの恥ずかしい一面を先生に知られてしまいます。

カバンの中には、特注で作らせたナル様のフィギュアやバッジやキーホルダーがたくさん…。

教科書にも、ナル様の写真をたくさん挟んでいますの。恥ずかしいわ」



天音ちゃんはポッと顔を赤らめる。



「大丈夫だよ、天音ちゃんがナルのことを好きなのはみんな知ってるもん。一途で、羨ましい」



「羨ましい?それはわたくしのセリフですわ。

いつも葵ちゃんは特別室で、ナル様にあんなことやこんなこと…あぁ、わたくしはそれを想像するだけでわくわくするんですの」



「天音ちゃんっ、特別室ではイジメられてただけだよ!?ナルとはなんでもなくて」



「隠さなくても大丈夫ですわ。キスのひとつぐらいしてますよね」



――ドキッ!



思わず黙ったあたしを、天音ちゃんがツンツンと突っついてくる。



「きゃ~っ!!ナル様のキス、どんな味でした!?やっぱりレモンの……」



「うるさいわねっ!!あんた黙りなさいよ!!ナルの話はやめて!!」



清香さんが天音ちゃんの前につかつかと歩いてきて、怒鳴り声をあげた。



そして、あたしを思いっきりニラんでくる。



わぁっ、怖い……。



思わず肩をすくめると、プイと顔を背けられた。