クラスの周りにヤジができて、他のクラスの生徒も集まってきていた。



「葵ちゃん…物騒ですわ。わたくしのナル様コレクションも盗まれてないかしら」



天音ちゃんは自分のカバンを探り、“ナル様ラブ”と書いたアルバムを手に取る。



「ありましたわっ、わたくしの宝物が」



ギューッとアルバムを抱きしめている天音ちゃんが、かわいい。



ナルへの気持ちを、素直に表せる天音ちゃんっていいな。



好きって、こういうことだよね。



誰かを想うだけで、幸せで楽しい気持ちになる。



嬉しそうな天音ちゃんを見ていて、思わず笑みが漏れた。






そのとき、清香さんがあたしたちのクラスに入ってきた。



「持ち物検査をしてはいかが?」



一瞬クラス中がざわめく。



「そんな…私たちを疑うの?この学園でそんなことありえない」



誰かがそう言ったけれど、清香さんが強く言い放った。



「だからそれを今すぐ証明すればいいのよ!!さあ、みんな教室の後ろに移動して。自分の持ち物には、一切触れないように」



「持ち物検査なんて、穏やかじゃないわ」



「信じられない。プライベートの侵害だわ」



みんなはふて腐れつつも、清香さんの指示に従っている。