ナルはあたしにゆっくりと近づくと、頭をひと撫でした。



「好きなヤツの気持ちが手に入らないって……すげぇ悔しい」









――ドキッ。



優しく見つめられて、ドキドキする。



「今まで、手に入らなかったモノなんてないからな。みんな、俺の言いなりだった」



ナルはあたしのポニーテールをつまんで、指に絡めてくるくると回す。



「ちょっと……」



「今度、おろして来いよ。そっちのが好きだから」



「なに言って……」



「俺の最後の命令ぐらい、聞けよ」



「え……」



ナルは微笑むと、あたしの髪から前にくれたリボンを引っ張ってほどいた。



「お前とのペット契約を、今ここで解消してやるよ」