悔しそうなナルを前に、あたしはなにも言えなくなってしまった。



あたしは、自分がお金持ちじゃないことで、ナルへの気持ちをセーブしてるんだと自分で思っていた。



だけどそうじゃなくて、



ナルとは違う世界の人だって思うその気持ち自体、



ナル自身を見ていないのかもしれない。



だからあたしは、



ナルのことが、好きじゃないんだよ……。



気になってたのも、興味本位から?



セレブ学園を司る、王様のようなナルに……



その人に好きだって言われて、



少し浮かれていたのかもしれない。








「ゴメンなさい……」



あたしは、ナルに深々と頭を下げた。



「しょうがないよな、こんな学校にいて俺自身を見てくれっていうのが、ムリな話だよな。俺の方こそ、急かして悪かった……」



ナルがあたしに謝るなんて。



あまりに素直すぎて、逆に驚く。