《俺様的》彼女の手なずけ方

「そんなの、今だけだよ。ナルには、もっとふさわしい人がいるよ」



「うん…そうだな」



ナルはそう言うと、フッと微笑んだ。



チクンと、胸が痛む。



そのとき清香さんが、ナルの胸にしがみついた。



「あたしなら…少しは力になれるよ。お父さんに頼めば、ナルのお父さんだって婚約をとりやめるはず。

ウチはナルの家とは違う業界だけど、資金援助とか提携とか、そういうことなら力を貸せると思う。

ねぇ……あたしと、一緒になってよ」



清香さんがナルを見つめている。



ふたりは見つめ合い、ナルが清香さんの体をゆっくりと引き寄せる。








……やだ、あたし



こんなの見たくない。



どうしてだろう…。



胸がズキズキと痛くなってきた。



あたしとナルは別世界の人。



わかってはいたけど、そのことを清香さんに見せつけられた気がするからなのかな……。