「それなら、行く」



あたしがナルに腕を絡ませると、ホッとした表情を見せた。



「まったくお前は素直じゃないな」



「どっちがよ!回りくどいことしないで、最初っからそう言えばいいのに」



「部屋に連れこめたら、ラッキーだと思ってな?だけどやっぱりムリだったな。お前ってホント強情だな」



「だから、どっちが!?なんであたしがナルと……」



「結婚相手なら、いいんだろ?」



「だーかーらー、あたしはナルとは結婚しません!」



「言ってろよ。そのうちお前からお願いしてくるようになるから」



「しませんーっ!!」







全くもう、この男は!



そしてあたしたちは、



夕暮れどきに出航する、大型客船に乗りこんだ。