ああぁぁ……これじゃ、ナルの思惑通りだ。



あたし、このままでいいの?



そうは思うけど、この優しい手を拒めない。



せめて一時の夢と思えば……



この恥ずかしい状態を乗りきることができるかな。








ホールの入口に立つと、周りの視線が一斉にあたしに集まった。



……ううん、違う。



これは、ナルに対する羨望の眼差し。



この人はいつも、



こんな風にみんなから注目されているんだ……。



すると、ナルがドスのきいた声で叫んだ。



「お前ら、見てんじゃねーぞ!」



……はい?