「さぁ、行こうか。プリンセス」



あたしが足元を見た瞬間に、耳にチュッとキスをされた。



「なっ……なっ……」



「耳ぐらい、なんだよ。かわいいもんだろ」



まぁ、そうなんだけど!



昨日のキスは、あたしには……刺激が強すぎたっ。



思いだすだけで、顔が赤くなりそう。









ナルはあたしをエスコートするように、腰に手をあて、反対の手であたしの片手を受けてくれている。



……なんだか、ホントにプリンセスになった気分。



あたし、夢を見ているの?



となりにいるヤツが、



コイツじゃなければ……。



チラッとナルを見ると、凛とした表情がこの上なく美しい。



ううん……あたしがナルに、釣り合ってないよね。



家柄も違えば、育った環境も違う。



なにもかもが……違うんだ。