あたしにとっては、完全武装。



他の人から見れば、似合わないドレス姿。



馬子にも衣装とは、このことか。



ヒールを履き、ぎこちない歩き方で階段を下りる。



やっ……やばい、コケそう。



グラリと揺れたとき、うしろから腕を取られた。



あぁ、助かった!



階段から転げ落ちるところだったよ~。



あたしの命の恩人っ!



笑顔で振りむいた途端、あたしはムンクの叫びの顔になっていたと思う。









「遅かったな。なかなかじゃないか」




あたしを見て満足そうに笑う、その男は。




「ぎゃっ!!」



振りはらおうとしても、離してくれない。




やっぱり……お父さんから送られてくるって、変だと思ったんだ。




あたしの腕を掴んでいるのは、紛れもないこの男、




三好鳴海だった……。