「今すぐこれに着替えてください!」



天音ちゃんは、あたしに1枚のドレスを渡してくる。




「やだ~、もういいってば……」




「さきほど、こちらのドレスが葵ちゃん宛に届けられたそうです。差出人は……篠原貢」



「えぇっ、お父さんだ!」



住所は書いてないけど、確かにお父さんの名前……。



あたしがここにいるって、どうしてわかったの?



不審に思っていると、天音ちゃんが強引にあたしの服を脱がせ始めた。



「きゃっ……エッチ~!!!」



「フザけてる場合ですか!?早くしてください!ラストダンスに間に合わないっ!!」



ダンス命!っぽい天音ちゃん、必死。



フザけて、怒られちゃった。



「わかったってば。自分で着替えるから……」



「ラストダンスには必ず来て下さいね。必ずですよ!じゃなきゃ、天音泣いちゃうからっ」



泣かせてみようって、言ってる場合じゃない。



天音ちゃんを泣かせたら、なんかとんでもないことになりそうな気がしたあたしは、



素直にドレスに袖を通すことにした。