「お前って、こーいう男がタイプ?」


目の前で、ニヤニヤと笑う男の子は、


あたしの知ってる、学園の独裁者のよくするそれと被る。


「そしてお前も、初対面の男と簡単にキスするようなそんな女…。

もっとお固いかと思ってたのに。意外だな」


「ま…さか…。ナルなの!?」


「今頃気づいた?」






こっ…殺してやりたい!


恥ずかしさと、騙されたことへの怒りが同時にわいてくる。


「最悪っ…あんたなんかとキスなんて…」


しかも、あたしのファーストキス。


悔しくて、向かっていくより早く涙がこぼれた。


そしたらナルの顔が少し歪んだ。


「なんだよ、いつもみたくガーッて噛み付いてこないのか?」


「ひどい…ひどいよ。あたし、ナルだって知ってたら……絶対にしなかった」


もう言葉にすることもできず、俯いた。