竹君さんが一目も憚わらず地下鉄の改札で私にキスをした。 竹君さんが私への思いの丈が顕になった『証しのキス』。 それと同時に私の意識と理性を喪失させる『魔性のキス』。 『魔性のキス』をされると私は竹君さんが好きなのかどうなのかどうでもよくなってしまう。 ただ竹君さんのキスに貪欲になる。 「お帰りなさいませ」 マンションのコンシェルジュさんの声で私は覚醒した。