「ま、今日は久々デート楽しめよ。いいなぁチクショー」 「光も、椎原さん誘ってみたら」 「うーん…考えとく」 普段お調子者の光が、眉間にしわを寄せてる。 なんだよ、考えとくって。 光のほうこそ、変わったよ。本当に、何かから解き放たれたみたいに軽くなった。 毎日があの頃よりも楽しそうだ。 それは、俺も同じなのだろうか。 じゃあ、俺を締め付けて離さなかったのは、何―――? ――だめだ。やめよう。 小さなため息をつき、俺は少し伸びた黒髪に手を伸ばした。