さっきまでは覚えていた気がするのに、闇は私の残された記憶を呑み込み、姿すら覆った。 ――これが最悪の絶望なのだろうか。 ――ただ、一つ分かったのは… 私は“ヒト”ではない。 この世界にただ存在する、闇の一部なのだから。 何れ、心までも奪われる時が来るだろう。 そして闇と一体化し、無に消えるのだろう。 これが私の最悪の運命なのだ。