「あたしはあなたがわかりません」


「…」


「あたしは、あなたの名前と、性別と、声しか知らない」


「…」


止まれ、あたしの口。


「女ってわかんない?知ろうとしていないだけですよ」


だけど、あたしのくやしさの方が勝って。


悔しくてくやしくて。


「これ、覚えておきますね」


紙を乱暴にとって、部屋の中に入った。