「君は若いのに大変だね」 「えっ?」 バッと三枝さんの方を見ると、 ニッコリと笑っている。 「こんな世界に巻き込まれて。 嫌だな、とかおもわなかったのかい?」 「思いませんでした。 颯汰さんのためって思ったら全然ですよ」 そう言って笑うと、 鼻息が荒いまま、あたしの手をそっと握った。 「本当にいい子だね」 鳥肌しか立たない。 あたしにとっては、今こそが大変だ。