「あ、わりぃ、吉谷」

「あ、有内くん」


そこには、チャラチャラとしたピアスを数個耳につけ、他の人とは違った髪色をした男子。

あたしは彼を知っている。
1年のとき同じクラスだった、有内 悠真(アリウチ ユウマ)くん。


「有内くん、久しぶりだね」

「だな」


1年のときからヤンチャで、クラスにいないことも多かった有内くんは、あたしがいじめられていたことを知らなかったのか、唯一普通に話してくれた人。

見た目はチャラチャラしてて怖そうだけど、ほんとはすっごく優しいの。


「じゃーな、気ぃつけて歩けよ」

「はーいっ」


有内くんは、横を通るときに手をポンッと頭にのせて、去っていった。

それからは、桃花や千明が心配してくれながら移動教室まで到着。