上からあたしを見下ろして、龍ちゃんはあたしの頬に手を寄せて撫でた。
「早めに帰る」
「…うん」
「なんかあったら、すぐ連絡して」
「…うん」
「…寂し?」
「…うん………え?」
突然の質問に嘘はつけず、頷いてしまう。
寂しいことがなんでわかったのか、なんで素直に頷いちゃったのか、いろんなことが頭の中でぐちゃぐちゃに。
「な…なんで?」
「寂しそうな顔してた」
「ほんと…!?」
ゆっくり頷くと、頬を撫でる手を止めた。
そして、龍ちゃんはゆっくり近づくと
―チュッ
おでこにキスを落とし
「寂しくならないおまじない」
それだけ言うと、じゃあね、と部屋を出ていった。
