ピピピッと体温計が鳴り、表示されたのは37.8度。
それから龍ちゃんにいくつか質問されて、あたしはそれを素直に答えた。
「帰るよ。拓海、この子の荷物持ってきて」
たっくんにそう告げると、二人は保健室を出ていった。
帰る…やっぱりそうなるよね…
みんなと最後まで頑張りたかったな。
なんで風邪なんか引いちゃうんだろ…
ダメだなぁ…体が弱ってるからか、涙腺が弱い 。
あたしは誰もいない保健室で、膝を抱えて泣いた。
そんな保健室に龍ちゃんが早くも戻ってくる。
チャリンッと何回か聞き覚えのある鍵の音。
涙…止めなきゃ…
そう思えば思うほど涙は溢れた。
そんなあたしのいるベッドに腰掛けて、龍ちゃんは頭を撫でてくれる。
ゆっくり、優しく。
