「え?何?俺特別なの?」

「調子乗んな、ばーか」


なんとなく恥ずかしくなって、つい毒づいてしまう。
そんなあたしに蒼太は、ペシッと、でこぴんをした。


「いったい!!なんでよ!馬鹿!」

「馬鹿馬鹿言うなよ。馬鹿はお前だろ。お前なんもわかってねーよ…」


何故か少し寂しそうな蒼太。
いつも馬鹿やってる蒼太だから、こういう顔をされるとどうすればいいのかわかんなくなる。


「な、なに?」

「なんもねーよ、ばーか!」


またペシッと、でこぴんをして蒼太は電車に乗った。
ヒリヒリするおでこを抑えながら、あたしも続いて電車に乗る。

それから、さっきの寂しそうな雰囲気もなくなり、他愛もない話をして笑いあった。
蒼太の駅に着いたのにも関わらず、立ち上がらないあたしを不思議そうに見た。

あ、今までは蒼太と同じところで降りてたんだっけ。
先生の家になってから降りる駅が変わったんだった。