「あれ?」


大窓のカーテンがヒラヒラと風に揺れている。


「閉め忘れたのかな」


閉めにいこうと大窓の側に行くと、月明かりに照らされて影を作る何かがいることに気づいた。

向こうに誰かいる?
泥棒とかじゃないよね…?

チラッと覗くと、大窓の向こうはバルコニーになっているようだった。


「あ…」


月に照らされた横顔がとても綺麗で、でもどこか寂しげで…


「龍ちゃん…」


気づくと、あたしはその人の名前を呼んでいた。

龍ちゃんは、あたしの声に気づくと振り返った。
手に小さなジョーロを持っていて、龍ちゃんの前にはお花が。


「水やり中?」

「うん」


それだけ言うと、また水をあげ始めた。